パーツセラピーと自己理解

自分は何者なのか?

このうちなる声はどこから聞こえてくるのか?

 

心理という学問の歴史において、

自己理解のための様々なアプローチがありました。

そのひとつ、パーツセラピーをお伝えします。

 

パーツとは何か?

Parts of self

一人の人の中にあるパーツ。

複数形でパーツ

単数形だとパートと言います。

 

悲しみのパート

人を警戒するパーツ

そんなイメージです。

 

EMDRで自我状態療法をされるサンドラ・ポールセン博士は、

次のようにパーツを語っておられます。

 

心の眼に浮かぶ人物像や様々な声は、

クライエントの分身ではなく

別個の人々が存在するわけではない。

そのクライエントの一部、パーツである。

クライエントとは別に存在する外的な人物

に見えても実際は頭の中で作り上げた像に過ぎない。

 

葛藤や悩みの数だけパーツがいる?!

なかなか勇気が出せず、

決断できずに先送りしてしまうことがある。

そんな時、自己の中で

「一歩踏み出せないパーツ」

が存在している可能性があります。

 

セラピーの中でも、セッションの進行の妨げに

パーツさんの存在があったりする時があります。

 

その人の中の全体性の中で、

統合できずに抵抗や葛藤がある。

パーツは苦しいし、悩み

先送りパーツとなるのです。

  

パーツの存在目的

パーツの存在目的は、

その人のサバイバルスキルである

戦略の一つなのです。

 

パーツみんなでチームになって

フロントパートを助けている感じ。

 

虐待される子は親の加害者のパーツを

自分に内在化させることで

恐怖や恐れからの防衛に使ったり

することもあったりします。

自己の構造

パーツセラピーの歴史では、精神分析、ゲシュタルト療法、

家族療法、交流分析、IFSなどから現在では

自我状態療法へと様々発展してきました。

 

自己の内部は住居の間取り図のように

機能別に構成されているイメージです。

 

そのため例えば、

「親である役割」と「スポーツ選手の部分」など

わけて機能する事で、役割混乱は回避されます。

 

深い葛藤やトラウマを持っている人は

間取りの仕切り壁が分厚く、

部屋の一部には鍵がかかっていることがあって

自分も他人も容易にその部屋(パート)

へ近づくことができない。

そういったパートは”交代人格”と呼ばれ

他のパートの生活のことは覚えていなかったりします。

 

交代人格もパートであって、一人のパーツの一部です。

 

構造的解離理論

トラウマセラピーの解離の部分から

「構造的解離理論」というものが出てきました。

ANPとEP

Nijenhuis, wan der Hart and Steele(2004)の自己の構造では、

二つの構造があると考えています。

 

ANP(Apparently Normal Personalities) 表面的にノーマルな人格

他者と関わる時の表向きの顔(フロントパート)

今置かれている状況に適用しようとする

機能的神経ネットワーク。

 

EP( Emotional Personalities) 感情的人格

未処理のトラウマ記憶にぶらさがる

感情や身体感覚・認識を備えたパーツ

 

例えば、学校でいじめを受けた子どもがいるとする。

その時に感じた恥のパーツ

身体が硬く縮こまったパーツ

誰にも助けられず無価値に感じたパーツ

など、幾つもEPが存在することもあります。

 

ANPとEPの間には健忘障壁(解離障壁)がある

と考えられるため

ANPが普段は機能的な生活を送る事ができます。

 

しかし未解決のトラウマを持っている人は、

ふとしたきっかけで障壁がなくなったり

弱くなった時は出てくるEPに、

とてもしんどくなる事があります。

複雑な自己の構造

より複雑な自己の構造として

ANPとEPの1セットが複数ある場合。

 

一人の人間が生きているのだが

お互いの生活を知らないし、

体質が違っていたり、

味覚や好みが違っていたりする。

これは、解離性同一性障害と呼ばれる

診断名がつくことがあります。

 

個人としてはある特定のパートの

自我状態で学んだことは

その場面でよく思い出せる。

逆にいうと、そうでない環境や人間関係では、

その時作られた自我状態にアクセスできない。

 

なんのためにこれがあるのかというと、

自我状態をスイッチして切り替わることで

つらい現実を忘れて生きていくための戦略

として使えるからなのです。

 

セラピーでは

パーツの存在を認識することで、

自己についての客観的な視点を

得ることができます。

 

パーツの構成をリストにしたり

パーツ同士の会話のために

会議をセッティングすることもあります。

 

例えば、

”悲しんでいる自分を認識できている”

は、それぞれの悲しみパーツと

自分が共意識を持てて統合

されていれば問題はないと

いえるのかもしれません。

 

しかし、一部だけ繋がっていたり

知らない経験や記憶があったり

時間軸が途切れているパーツがあったりするなら

それを意識レベルまで持っていく事で

存在を認識する事ができます。

そしてそのパーツを把握し関わっていく。

 

全てのパーツにはそれぞれの機能的な役割が

あって存在しています。

そのためパーツを消したり切り離したりするのではなく、

その人に統合していくことを目指す感じです。

 

別段深刻な解離症状が有る無しに関わらず、

自分の深いところにあるパーツや

それらの間にある力動、関係性を知ることは

不安や恐れ、葛藤の根源は何か?といった

理解を知る手助けにもなります。

 

 

参考文献:トラウマと解離症状の治療 EMDRを活用した新しい自我状態療法 サンドラ・ポールセン著

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