毎日仕事に生活にと
色々頑張って生きている。
やっても、やっても満たされない。
いろんなことを達成しても自信がないまま。
なんでだろう?
私って生きる価値があるんだろうか・・・
自分についての価値を見出せないってなんだ?
この感覚はどっからくるのか?
海外の研究と脳や神経系を使った解放についてもお伝えしてます。
自分に対する無価値感
小さな頃は不器用でなかなか自分の思い通り
物事が進まなかったこともあったかもしれない。
大人になるにつれて、
色んなことができるようになってくると
生きづらさも成長とともに解消される部分があったはず…
しかし、頑張って頑張って
色んな業績や成功を残しているのに
いつまでたっても満たされない。
何故だ!
良い学校を卒業し
資格を取りまくり
ステータスの高い職業
高給を得て
広いゴージャスな家があって
パートナーにも恵まれて・・・
他人からも羨ましがられる生活をしていても、
全然努力が足りてない!
もっと頑張らないと認められない!
自分はまだまだ不十分!
とがむしゃらに走り続けても、
ゴールが見えない。(涙)
自分でも薄々気がついているかもしれない。
やってもやっても満たされない思いはいつしか
無気力や抑うつ
慢性的な疲労や不安
といった様々な心身の症状となって
現れてくるかもしれませんね。
自分に対する”無価値感”は、
内側の深いところにある信念として持っているため
なかなか気づきにくかったりするので
自力で変容が難しかったりします。
ズーーと、長年そんな思いを持って生きている人は
少なくない気がします。
カウンセリングでも度々取り上げる課題でもあります。
満たされないニーズから無価値を感じる
頑張っても満たされない自分への無価値感として
ニーズの側面から考えられることをいくつか紹介します。
本来の自分のニーズを自ら満たせていない
親、社会、他人の価値観を
自分のニーズと思ってやっている場合があります。
そんなときは、いくら頑張って達成したことも
努力した本人が欲しかったことではなかったなら
結果、得られてもそんなに嬉しくないでしょう。
他人を喜ばせても自分がhappyになれなかったら、
砂の城をビーチで作るようなもの?
綺麗なお城ができても波があっという間にさらって
満足は一瞬で崩れ、跡形も無くなります。
幼児期に十分なニーズが満たされなかった
乳児の頃の記憶なので覚えていないかもしれませんが
特定のトラウマや虐待がなくっても
無価値感を自分に持つ人はいます。
乳児は本来自分のニーズは
親や養育者が無条件に満たしてくれることで
順調な発達を成していきます。
発達初期では、養育者との相互作用を持って
感情調整を学んでいく大事な時期です。
自分の感情調整ができて人間関係を築け、
社会関係を学習していくことができます。
しかし例えば、
オムツを変えて欲しい!
おっぱい飲みたい!
と泣いているのに無視され続けると
次第に乳児はパニックになります。
恥とプライドの研究をされた、Nathanson,D. 先生は言います。
子どもが助けを必要とするときに親が助けなければ、
子どもは恥を感じる
それゆえ、
親からのケアを受けられなかったことによって生じる
中核的なスキーマには、次のようなものがあるといいます。
私が何か悪いことした
私には価値がない
私は恥ずべき人間だ
多重人格障害の研究をされているPutnam先生は
恥と無価値の体験は、次に示すような障害に
根源的なところで影響があると言われています。
感情障害、不安障害、状態調節障害、
パーソナリティ障害、解離性障害、その為障害(1997)
乳児期の養育が不十分で神経系の未発達が疑われるなら、
親との愛着も一つのテーマになってくるかもしれません。
自分への無価値感からの解放
自分には価値がないという考えや思いから
解放されるための方法をいくつかみていきます。
認知的なアプローチ
自分には価値がないというのは、
強い信念を持つ考えになります。
言語セラピーでは、
トップダウン方向で脳の認知から身体への変化
に働きかけます。
認知行動療法では、
信念を探り、
別の信念や結論に置き換えて
新たな行動を実践するときに効果
があります。
また、愛着に関わるテーマの場合、
セッションは数回より複数回に渡り
丁寧にじっくり時間をかけながら
進めていくことで回復されていく
場合が多くなります。
早く変容したいと焦っても
時間がかかるテーマという認識を持つことで
焦りから解放されますね。
身体(ソマティック)からのアプローチ
ボトムアップ方向に働きかけるには、
身体からのアプローチが有効になります。
腹側迷走神経系の土台作り
子どもが自分のニーズを満たされずに感じる
恥はシャットダウンの反応習性をもたらす要因
と言われています。
これはなぜかというと、神経生理学のPorges先生の
理論で説明ができます。
人には2つの神経系統
交感神経系と副交感神経系があります。
Porges先生は副交感神経系には、
異なる機能を持った二つの迷走神経系を持っている
仮説を立てました。(2011)
それが、
腹側迷走神経
背側迷走神経
です。
腹側迷走神経系は”社会関与システム”と言われ、
アタッチメント、愛着など人とのつながりと関係します。
背側迷走神経系は”フリーズ(凍結)”反応に関与し、
脅威に対して闘争逃走どちらもできないと、
シャットダウンを引き起こします。
またLanius先生は、
親と子のタイムリーな相互作用で使われる
腹側迷走神経系は愛情ホルモンと言われる
オキシトシン由来になります。
その反応習性は、
社会関与によって獲得される
感情調整に根ざしている
と言っています。
一方、親の関与なく当然一人では対処できないことを
一人でしなければならなかった場合、
背側迷走神経系を使い、
オピオイド由来の反応習性
が獲得されると言われています。
オピオイド=麻薬性鎮痛薬
麻痺させて、感じなくするのです。
ちょっと怖いですね。(汗)
腹側迷走神経系で使うオキシトシン由来の
神経系の反応習性を作っていくことで、
自己とつながり他者の関係性のつながりを得て
恥や無価値観からの癒しと解放を目指します。
自分と繋がるということのトレーニングで
すぐ取り入れることができることは、
HRVに意識を向けた呼吸法です。
以下の記事を読んでみてください。
【参考記事】
チャイルドパーツの癒しと身体の影響からの解放
トラウマと身体の研究をしているパットオグデン先生は、
自分への無価値を感じた
一番古い記憶と身体の感じを取り扱って
セッションをするのが良い
と言っています。
自分には価値がないと思ったときには、
身体にも影響が出ているそうです。
小さな頃のチャイルドと関わり、
身体に影響が残っているところを
解放していかないと、
自分には価値がないという
強い信念は変容していかないようです。
なかなか手強そうですが、
手段はないわけではなく
少しずつでも取り組むことで
改善は見込まれることもあるという
希望もあります。
さいごに
「自分への無価値感」というテーマは
自己の内なる深いところにある
身体感覚や、信念が複雑に絡んで
根深そうな感じがしますね。(汗)
また自分の発達の歴史、
自分ではどうしようも出来なかった
幼児期にその由来があるかもとなると
育ての親のせいにしたい
気持ちも出てくるかもしれませんね。
世に言われている虐待やネグレクト、
毒親等々明らかに親の育て方に問題がある
事もあります。
しかし、広い意味で
「日本の養育」ってどうなんだ?
と疑問が湧いてきた無価値感テーマでもありました。
自己肯定感が諸外国に比べ低い子どもが多く
自分に自信のない人が沢山いますよね。(笑)
子どもに限らず親自身も自信がなくて、
親自体も苦労している事も多いので
文化的な背景も含む「日本の子育て」に
なんらか課題があるような
感じもします。
いつかこのテーマでも掘り下げてリサーチして
書いてみようと思います。
何はともあれ自分のニーズを満たすこと、
満たされることって大切だなあって思いました。
自分を労わり慈しみ大事にしてあげたいです。